堺友里と金藤みなみの百番勝負

審査員：鳴海テヨナさん

堺に一票！

金藤さんの○の部分めっちゃ好きです。３つの○がハンドスピナーみたいにぐるぐる回ってるみたいに見えてずっと見てしまう。

堺さんは潔く○ですね！
めっちゃ○！タイトルつけるとしたら「○」！

悩みましたが、完全に○で愉快やったので堺さんの勝ちにします！

審査員：丫戊个堂さん

金藤に一票！

堺
丸を扱った作品としては丸の構造、丸のバルールなどに工夫がない。デザインの質を高めればいいというものではないが丸と作品と自分の関係性にどんなに小さくてもいいので何らかの発見が欲しい。

金藤
ニップレスという「丸」に肉体の毛や皮脂といったいわば気持ちの悪いものが付随することでただの丸ではなくなるというところを作品のみで表現しきれてはいないものの、テーマの扱い方としては幾何学的なものに肉体の余剰を組み合わせるという意外性がある。
なのでふたつめに一票。

審査員：平間貴大さん

堺に一票！

毎回甲乙つけがたい戦いをしている金藤さんと堺さんですが、 今回は本当に2つの作品の間で優劣をつけることが難しかったです。毎回ですが勝敗を判定するのは難いですねぇ。

見た瞬間にヤバさを感じてしまう金藤さんの絵に流石！と思いつつ、この数ヶ月で何か一皮剥けたような堺さんの絵に一票。

沖縄県科学技術大学院大学で開催されている人工知能美学芸術展に参加しています。1月8日まで。https://groups.oist.jp/ja/aiaae/event/artificial-intelligence-art-and-aesthetics-exhibition

審査員：鳴海テヨナさん

金藤に一票！

ドローイングでテーマが国って難しいですね。
どちらの絵も、韓国感がすごいので流石だなと思います。

先の絵は金藤さんですかね。色合いやモチーフが、優しいんだけど圧があってなんか見ちゃう。ハングルぽいのとか、チョゴリによく使われている色味はない方が説明的になりすぎずおもしろかったかなと思います。
後の絵は実物が見たいです！実物と画面で見るのとではかなり印象が変わりそう。こちらもすっごく韓国っぽいしやりたいことも分かるんですけど、なんかペペーン！て感じがします。難しいー！これでどうやー！ちょいー！っていう製作中のパルスが絵から出てます。見当違いだったらすみません。だけど、今回はそれがうまく作用していないなと思ったので、先の絵の勝ちにします。

私が韓国人だからかもしれませんが、日本人の考える韓国、めっちゃ分かるーと思って興味深く楽しかったです。

審査員：丫戊个堂さん

金藤に一票！

堺：韓国についての何かをシンボルやメタファーで表そうとするにはかなり不明瞭かと思われる。洗練された表現として簡易になっている表現とも思えないので、もう少し工夫が欲しかった。
金藤：やはり何を示しているかはわからないことも多いが、地形のようなもの、都市のようなもの、人のようなもの、文化のようなものが違う色や形で描かれており、作品が韓国に対する別のイメージを示唆する可能性はある。目を配らせるポイントもこちらの方が複雑であり、こちらの勝利とする。

審査員：平間貴大さん

金藤に一票！

描き込んだときの金藤さんの良さがぐっと出た作品。第一回戦の『イカ1』も最高だったけど、更に良くなっていると思う。

堺さんの『韓国の友達』は実際の国旗と比べてみると、陽と陰を表す赤と青を組み合わせた円の色と、四隅の掛の配色が逆になっている。「LEGENDA」の意味は分からなかった。ファッションブランド？キリスト教の聖人の物語？浜田麻里のアルバム？

審査員：いしだゆうきさん

金藤に一票！

どちらも富士山がたくさん書かれていてハッピーだね。両方見比べると富士山以外のものに目が行ってしまうので、富士山オンリーを見て、金藤さんの勝ちとします。

審査員：丫戊个堂さん

堺に一票！

金藤さん
登山ウェアのワッペンとしてワンクッション挟んで富士を描くのはちょっと面白い。もっと工夫して背景にも富士があるというような構図も見たかった。

堺さん
楽し気な雰囲気は伝わってくるし、富士も小さい富士が並んでいたり反転した赤富士を対比させるなどのデザイン的な工夫はある。
しかし、もっと富士山に"囲まれている"感じや"間"を散歩していることを表現するための絵画的工夫が欲しいところではある。

甲乙つけがたいが、楽し気な感情を喚起するという点を評価して堺さんに一票

審査員：平間貴大さん

堺に一票！

堺さんに一票

今回のテーマは「富士山」。今回の二人の絵を見て、富士山といわれてまず葛飾北斎の富嶽三十六景や横山大観の富士山を思い浮かべてしまった自分を反省しました。堺さんの富士山は横に人がいて、その横の富士山と、真っ赤な逆さ富士、そして小さい富士山がたくさん、、、富士山富士山富士山、そして赤い逆さ富士の周りには直立した赤い富士山富士山、、、
https://www.youtube.com/watch?v=z4TaZay2GGI

審査員：いしだゆうきさん

引き分けに一票！

肉体編2連続！ということだね。二人の方向性が逆だから基準が難しい。境さんの上手くまとまってしまった(まとめてしまう)身体性というのも共感できるし、金藤さんの不器用さを流れに変換させたというのも分かる。(分かってしまう不器用さ！を内包しているやるせなさ！)同じテーマだけど、全然違うものを描いている。だからどうやって同じ土俵に乗せたらいいのか混乱している。どうしようかな……。勝手に解釈を決めて「ありのままの身体を表出しているか」にしようか……。ああ、やっぱりダメだな。今回は引き分けで。

審査員：丫戊个堂さん

堺に一票！

金藤さんの方は残念ながら止まって見える。止まっていても内在する運動性を見せるという高度な表現もあるとは思うが、この絵からは感じることが出来ない。赤色がむしろ重く動きを制限しているような効果をもたらしていると思う。
堺さんの方はモノの配置と構図によって、流れや動きを描くが出来ていると思う。青色の部分は空を思わせ、それ自体が開放した空間への身体性を感じさせる。
よって、堺さんに一票。

審査員：平間貴大さん

金藤に一票！

今回のテーマは「流れを感じる身体性」。金藤さんは実際に人を見て何枚か描いたものの内の一つ、堺さんは特にコメントがありませんが、鉛筆、多面体の角や、円の一部、図形の部分の様な物が組み合わさっています。人間を崩していく方向で描く金藤さんに対して、人以外の物の組み合わせで身体性を表現した堺さんですが、今回は金藤さんの線が秀逸なので金藤さんに一票。
（告知）グループ展に参加しています。「写真の地平」http://hgrnews.exblog.jp/26137309/

審査員：いしだゆうきさん

堺に一票！

まさかこのお題でふたりともポートレートを描いてくるのに驚きました。青山裕企が「飛んでいるときは素の表情が出る」みたいなことを言っていて、そういうことですよね。怨念というか困難が丸見えの堺さんに一票で！

審査員：丫戊个堂さん

金藤に一票！

武道の稽古においても、利き手でない方の手をあえて使うと、普段無意識にやっている動きや自覚していない体の使い方に気が付いたり、余計な人為が入らないことによって偶発的に良い動きが生まれたりするということがある。その点で、金藤さんの絵には左手で描くという普段の自分ではない自分との苦闘とそれによって生まれたかえって良い効果の可能性が見える
顔の表情なんかは右手で描いたのとは別のリアリティがこもっているように思う。堺さんについては、右手でも左手でも代わり映えしなく描けるものを描いてしまったのではテーマに対する面白みに欠ける。

審査員：平間貴大さん

堺に一票！

今回のいしださんのお題の「利き手と反対の手で描く」というのはなかなか大変そうだと思いましたが、金藤さんはそっちの方が良い線が描けてしまったという発見と共に悔しさも感じられているようですね。普通にうまいと思ってしまったわたしはうまく騙されているようです！
堺さんは特に不便を感じなかったとの事ですが、やはり目の描き方に不自然さが残っていますよね！
絵描きのお二人は普段パレットを持っている方の手で今回は筆を持っているんだなと思いました！
ルールが設定されているからといってそのルールに則る必要はないですが、ルールを破ったからといって絵が良くなるわけでもないですよね！

審査員：いしだゆうきさん

金藤に一票！

今回はどちらも奥行き感が似ていて、迷いましたが、あ、でもやっぱりまだ迷ってるな。どちらも男の子の空虚さを捉えていて苦い気持ちを思い出しました。金藤さんに一票いれたいと思います。

審査員：丫戊个堂さん

金藤に一票！

どちらもテーマに対する消化が安易と言えば安易なのだが、男子高校生の足に描き出されてしまった少年性みたいなものが浮かび上がっていない以上、ポケモンの持つ冒険心でテーマに応えようとした金藤さんに一票

審査員：平間貴大さん

金藤に一票！

二人ともボーイズに興味が無い？
これまでの勝負では堺さんの脱力した所が魅力的だったのですが、今回は力が抜けすぎているような気がしました。対して金藤さんの今回の絵は「もう少し描いて欲しい」「これは絵の途中？」という感じが何とも言えず良い効果になっていると思います。

審査員：いしだゆうきさん

引き分けに一票！

海はなかなか甲乙つけがたいですね。こうくるか！みたいな新鮮さがある。太陽が落ちはじめると、海面が宝石みたいにキラキラします。しかも自分だけに一直線に。その観念のイメージと、身体ある海自体のイメージ。これこそ二人の差異が際立つテーマかもしれない。

おしゃれするポイント（お客様サービス）も違いが面白くて、金藤さんは縦構図でポストカード的に、堺さんは横構図でベーシックに攻めたところにウォーホル的なギャグを入れてくる。コメディの金藤、ギャグの堺ということで、ここはひとつ手を打ちましょう。

海、結果は引き分けです。

審査員：丫戊个堂さん

堺に一票！

画面の華やかさ軽やかさ心地よさでは金藤さんなのだが、海を描こうとして海を禁じて、そこにまだ見える海が描かれた堺さんに一票

審査員：平間貴大さん

堺に一票！

金藤さんの映像で不思議なところが一箇所ありました。終盤、紙の上の端っこのほうに色を塗る時です。紫色の絵の具の上からオレンジ色の絵の具を筆で塗るときに紙の少し上に筆先がはみ出て、そこから紙の内側のほうにストロークするという場面で、紙を置いていたダンボールに絵の具がのってしまいました。次にそのままはみ出た絵の具は無視して塗り続けます。そして次の瞬間です。先ほどついてしまったダンボールの上に着いた絵の具のほうに3回くらい往復で上塗りしていたのですがあれは何なんでしょうか。不思議でなりません。

今回の金藤さん作品は海というテーマに沿っていますが、堺さんの作品は、かつて海をテーマに描きはじめたものを、海の日にアトリエに籠って絵を描いている自分には似合わない気がして「塗りつぶした」ものであって、塗りつぶされた後の残骸ははたしてテーマの海と関係あるのでしょうか、という自家撞着を起こしている疑惑が持ち上がってきます。そんな破壊的な堺さんに一票

審査員：いしだゆうきさん

金藤に一票！

金藤「夏休み」

冬は終わらないのに夏は終わる。そんな夕日に照らされているため青は影をかすめ、黄色が立ち現れてきます。逆光のため顔の輪郭はよくわかりませんが、泣いています。なぜでしょう。それは夏は未来に対して感傷的になるからです。「麦わら帽子」の繊維と、髪の毛の流れが右下へと向かっているのはそれを無意識に語りかけています。


堺「夏休み」

相変わらず紙の質感がうまい。それに対して絵の具が馴染んでしまっているので、線や肉体の動きに目が持っていかれる。身体で描くというより、けっこう脳で描いている印象があるので「直線」を見たらいいのか「曲線」を見たらいいのか混乱する。豊かな川が左上から右下のほうへ流れていって、その対岸にあなたと私がいる。海はどこへ行った？ 画面のずっと右下のほうにある。海は描かなかったのではなく、描けなかった。まだ夏を遊んでいませんね？

勝敗：僅差で金藤さん！

審査員：丫戊个堂さん

金藤に一票！

堺さんの作品では行くほどではないけど、想像している感じがあまり出ていない。青緑の線も何の効果なのかわからない感じがある。金藤さんのはもう少し色のバリエーションが欲しい気もあるが、夏に対して泣くというちょっと意外な反応が描いたものから伝わってくる分、金藤さんに票を入れた

審査員：TYM344さん

堺に一票！

勝者：堺さん

金藤さん：動画面白かったのでこっちにしようかなと悩みました。タイトルのように文字が入っておりレコードジャケットのように素敵ですがよく観ていると顔がうまく捉えきれなくてだんだん怖い感じがしてきます。その辺りはねらい通りなのでしょうか？また、雰囲気が強い顔に対して帽子が上からシールを貼り付けたように平坦に描かれておりその差が面白いです。

堺さん：金藤さんの泣いている絵に対して堺さんの絵がやたら元気なので笑いました。全体としてポジティブな移動を感じます(見切れも効いています)。旅行でしょうか？交差するのは高速道路なのか川と橋なのか、飛び交う線は夏の虫たちの飛行の跡かそれとも全体を埋め尽くす熱気なのか。単純な図の組み合わせですがそれを活かしていくつかのシーンを同時に説明するような風景画になっていて、じっと観てしまいます。

まとめ：同じテーマでスタートしても結末が全然違うので、そのあたりも楽しく観ました。いつかイベントとして公開対決もして欲しいです。今後もお二人の作品を楽しみにしています。

審査員：いしだゆうきさん

金藤に一票！

「雨のhello」

やる気が感じられない！！！！ やりなおし！！！！

「ナイキタミヤ1」

めっちゃ好き。上隅の汚れと、下隅の汚れもパーフェクト。黒インクを金のインクに換えてもいいかも。額縁に入れて飾りたい作品。15秒という焦りを感じさせない、悠久の精神性を感じる。これを1分で4作品作れたら神様と呼ばせてください。

審査員：丫戊个堂さん

堺に一票！

15秒縛りである以上は製作過程を動画で見せてほしかった。
15秒でどれだけ蛇足にならない範囲で多様な要素を画面にいれられるかが勝負だと思ったので、今回は堺さんに一票。

審査員：TYM344さん

金藤に一票！

勝者 : 金藤さん

金藤さん : 直感的にこちらがピンときました。下地らしきものと図があるので構造は絵画的ですが、しかし「短時間なこと」がパッキングされていて(手運びのスピードを感じます)こちらも気持ち良いです。前回以上に絵画的なやり方なのに短時間という制約を作品の成立条件としてうまく使い込んでいるので、その意味でドローイング的な成功なのでしょう。あとタミヤもナイキも好きです。ドローイングで企業マークを入れるのはおもしろいですね(マークの本質を破壊するので)。

堺さん : 線自体は伸び伸びしていますが、線の足し込みを繰り返す作業は時間がない中での消極的な選択のように感じました(とはいえ「迷うよりは引かなければ！」という種類の勢いは感じます)。まったく平面なのだけれど有機的関係性が出てきて3次元もしくは4次元的になるような堺さんマジックが出ていないように思います。いま見直してみたら全体が一つの目みたいに見えましたがたまたまでしょうか。

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先日提案させていただいた15秒対決の実現、早速ありがとうございます。
15秒でもかなり贅沢な画面ができますね。ただし15秒と聞いているからこちらもわかってしまうのかもしれませんが、手に記憶された運動と4〜5点の直感的選択で絵ができているので、こちらもそれぞれの構想や思考を検討するというよりはついつい感覚的に考えてしまいますね。なのでむしろ15秒で判定すればよかったとあとで思いました。

審査員：いしだゆうきさん

堺に一票！

堺友里さんの勝ち！ いずれ引き分けとかも熱いゾ、海原先生

金藤作品について：
ぼくも最近タコ焼きにハマっていて、友人からもらったタコでしょっちゅう焼いている。好きなブキはN-ZAPで、イカ臭いのは嫌い。後ろにいる人間たちは、イカを食べたいと思っているんだろうね。しかし、目の前に海はない。そういった絶望みたいなもの、嫌いじゃないです。

堺作品について：
twitterのタイムラインをレシートで印刷するってやつをtwitterで見たことがあって、あの打刻速度はとても素晴らしいね。スーパーマーケットとドラッグストアを使い分けているところがニクい。ほとんどクレジットカードで会計していることろにしたたかさが見える。

審査員：丫戊个堂さん

金藤に一票！

金藤作品について：
何の意味もなく画面に介入してくるイカがとにかくイカとして超然としており、線画との無関係性がかえって面白い。次勝てるかどうかは別としてイカを飽きるまで描くのは良いと思う。

堺作品について：
日常の下支えする構造としての経済活動をレシートという形で支持体としてその上に心象風景を描くという二重構造は面白いが、その上でテーマというかイメージが薄い感じがした。

というわけでイカの勝ち

審査員：TYM344さん

堺に一票！

金藤作品について：
ドローイングは、まだ心の中でざわざわしているような興味関心ごとを、それがなんなのか判断せずにダイレクトに入れ込むには非常に向いておると思うので、なぜか急に好きになったイカを描く、というのは全く正しいと思いました。あとこのイカのとんでもない色がこってりとして良いのです。ただそれだけに人物などのボールペン絵部分とイカが関係が希薄に思えたので、そちらもイカ以上に積極的にこっちにやってきて欲しいと思いました。なお画像だと余白のつくり方がわからなかったので残念です。

堺作品について：
レシートの印字やレシート同士の切れ目がつくる垂直水平の方向に対して、線や図を斜めに配していくのが非常にうまいと思いました。目線が画面上をよく動くようにできていますし、それでいて画面内の重さが散って全体が安定もしています。直線をうまく使ってキュビズム的な奥行きがちょっとあべこべになっているような見せ方は、美術らしい上品な刺激を生んでおり楽しく観れました。

まとめ：
ドローイングでも、やはり画面の構成のつくり方の思想が出るものだと思います(またそれによって描いたモチーフなどの伝達力も変わってきます)。堺さんの作品はそれが出切ったかなと思い今回の勝者にしました。でもお二人ともドローイングというにはペインタリー過ぎる(結構じっくり描いている？)ようにも思えましたので、もっと勢いまかせの中で生まれるとんでもないものを今後期待します。自分だけの思考を少し破壊してくるような要素、例えば「15秒で描いたよ対決」とか、「お互い共通して入れ込むモチーフを一個決めて対決」とか、そういうものでも緊張感出て楽しいかもです。今後も楽しみにしています。TYM344